2012年12月21日金曜日

鎌仲監督 (2006/12/16)

16日土曜日。 
大阪の十三にある第7芸術劇場へ出かけた。「六ヶ所村ラプソディー」という映画が封切られたからだ。しかし、上演があるというのを知ったのは、12時30分。上演時間は、12時05分からだった。間に合わないのであきらめかけたが、初日は監督の舞台挨拶があるのではないかと予想し、試しに行ってみた。到着したのは14時過ぎ。 
  
ケバケバしさが売りの十三でも、一際いかがわしいビルの下には、なにやら怖そうな面々もたくさん。エレベーターからは、なにやらちょっと似つかわしくない若者も下りてきた。映画が終わったのだ。急いで、6階へ上がった。受付で、懐かしい顔が迎えてくれた。 
  
鎌仲ひとみ監督。 

笑顔が素敵な人だ。しばしの抱擁。いつ以来かなぁ・・・始めてあったのは、2000年3月に、神戸の芸術家グループ「アクト・コウベ」でフランスとスイスへ行った時だ。その後、奈良県の十津川へも盆踊りをしに、一緒に行った。 

鎌仲さんとこの上演をプロデュースしている冨田貴史さんと一緒にお茶を飲みに行った。十三公演以降も、西日本各地を巡って行くようだ。200館で上演されると、なんとか制作費がペイされるという、現在まで約70館、残り130館。前作の「ヒバクシャ」の時は、300館でペイされる制作規模だったのだが、すでに300館を越えたとのこと。 

鎌仲さんは独立採算で映画を撮っている。自己資金で映画を撮り、完成後、上映権を各地で売るのだ。大変な作業であるが、誰にも縛られない自由な映画を作るには、こうするしかない。 

「六ヶ所村ラプソディー」は、青森県の六ヶ所村に完成した使用済核燃料再処理工場にまつわるドキュメンタリーフィルムだ。非常にナイーブな問題を扱っている。反対派・賛成派、政府や電力会社はじめ、多くの人が関わっている。 

鎌仲さんは、賛成派・反対派の双方から距離を取り、お互いの主張を記録したそうだ。原子力は未来の可能性である一方、命を脅かす存在でもある。その両者の主張を見る人が考える、そんな映画を目指したそうだ。 

皆、生きている限り、様々なしがらみの中で存在している。こういった大きな問題に対して、簡単に決断を出すことはできないだろう。また、それ以前に、僕自身もそうなのだが、あまりに普段、無知や無関心になっていないだろうか。毎日、大量に電気を使っている。今この瞬間もコンピュータを使っている。そんなものすごく生活と結びついたものなのに・・・。 


今後、世界の経済活動はますます活発になり、エネルギー問題がますます深刻なるだろう。石油の取り合いで、至る所で戦争や紛争が起こっている。賛成派や反対派という特定の個人や団体を非難したり、攻撃してもしょうがない。もっと根本的に、発想を変えた経済や生活のあり方を考えなければならないだろう。自分が住んでいる、生きている世界で起こっている問題を直視し、考え、対処することが大切だ。 

唐突だが、踊りを踊っていても、全く同じだ。自分の身体を直視する、つらい作業だ。できていないことを直視するわけだから、自分で認めなくてはならないわけだから・・・しかし、それをしないと踊りも上達しない。舞踊を通じて、僕が考える、物事の解決法だ。 

前に進もうと思ったら、リラックスして、身体の隅々に耳を澄ます。うまくいっていないことをひとつひとつ解きほぐす。時間をかけて、もつれた糸を元まで辿り、正しい位置を探していく。 

12月29日まで十三の第7芸術劇場で上演しています。昼間の1回公演です。 
第7芸術劇場 
http://www.nanagei.com/ 

僕も今週行くつもりです。 

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