2月2日にならまちセンターでやった「うまれる」の映像を見ています。2台あったカメラの1台分ですが・・・。後々、編集してDVDにする予定。相当、おもしろいです。即興なので、本番中も長さは決まっていないし、どこで終わってもいいんですが、ある場面で、客席の女性が声を上げます。文字にするとたいしたことはないのですが、これによって、パフォーマンスは熱を帯びていきます。
前回の日記にも書いたのですが、本番の記憶を頼りに書いたので、ちょっと思い違いもあったようです。「じぶんのこだけが、かわいいんです。」っていうのは、本番が終わってから言ってたのかなあ?
昨年の8月6日に芦屋市立美術博物館で行った「うまれる」の初演の映像はすでに編集が終わっています。販売しようと思っています。近々宣伝しますので、よろしくお願いします。2作品とも、全く違った状況がうまれています。
・・・ ・・・
(母)
りっぱ、りっぱ。
りっぱ、りっぱ。 ??
もう、お母さん・・・。
さくまさん、ありがとう。
(母)
りっぱ、りっぱ。
(母)
終わってなかった・・・、すみません。
(佐久間)
今から踊りますよ。
(母)
まだ、これから・・・、 さくまさん、終わったんかとおもたなあ、やってください。
(佐久間)
踊りますよ。
(晴美)
イチ、ニ、サン、
(母)
ガンバレ。
(晴美)
ガンバレ。
(晴美)
おにいちゃん。
(母)
すみません、わたしがぶちこわしましたね。
(佐久間)
大丈夫です。大丈夫。
(佐久間)
ありがとうございます。
(佐久間)
おかあさん、おかあさんでしょ。
(母)
こんな子、産んだ覚えないけどね。
(晴美)
おかあさん、おかあさん。
(佐久間)
おかあさん、ありがとうございます。
(母)
さくまさん、ご苦労さまです。
??でて、よかったね。
(男)
ガンバレ、ガンバレ。
(母)
すみません、ありがとうございます。
(男)
ガンバレ。
(佐久間)
ありがとう。
(晴美)
おにいちゃん。
(母)
すみません、ぶちこわし専門ですので・・・。
(佐久間)
ぶちこわれてないと思います。
(母)
ごめんなさい。
もう終わるかと、終わるかと・・・。
(佐久間)
なにか言ってますよ。
(母)
はやく終わってくれたらうれしくて・・・。
(晴美)
おかあさん、おにいちゃん。
(母)
おにいちゃん、いいぞ。
がんばろう。
(晴美)
おにいちゃん、おぶって。
(母)
これを待ってました。
(佐久間)
重いぞ。
出演者;奥谷晴美、佐久間新、ジェリー・ゴードン
母:奥谷晴美の母 僕は、一度会ったことはあったけど、途中まではわからなかった。
男:客席の男の観客 誰かはわからないが、大きな声をかけてくれた。
・・・ ・・・
2014年12月31日水曜日
うまれた、叫ばずに。(04/02/2012)
2月2日
最高だった。
楽屋で白いドレスに着替えている晴美さんを見ながら、
今日、この場所で、この人とダンスができる奇跡を感じて、
ジェリーさんの音とともに
ある、
ことだけを踊ろうと決めた。
ほの明るい光と闇がつくる輪のはざまでたゆたうと、からだが滑りはじめた。
きっと、もうひとつの光の輪では、晴美さんが踊っているのだろう。
感じるままに、気ままに踊った。
光がひとつの大きな輪になった。すこし晴美さんを探ってみると、
ヴェールの向こうで、目がらんらんとし、ぐふふと笑っていた。
いいですか、おにいちゃん、おどりましょう、おもいっきりやりましょう、
って言ってるのがわかった。
僕は、ますます気ままに踊った。
前回とは違った。開始直後に発作が起こったあの時とは。
四方を囲んだ下手側の客席から拍手が聞こえた。叫び声も聞こえる。どうやら晴美さんのお母さんのようだった。
「わたしは、じぶんのこだけがかわいいんです。」「よかったよ。」「サクマさん、ありがとう。」「こんなこをわたしはうんだんですか。しんじられない。」「ぶちこわして、ごめんなさいね。」
間欠泉のように、感情の泉が高まるたびに、お母さんは何度も登場した。
「ありがとうございます、はるみさんのおかあさんですね、まだなんです、ここからなんです、まだまだおどるんですよ、だいじょうぶです、ありがとうおかあさん。」
と、僕も叫んでいた。
晴美さんを車椅子から下ろした。どんどん踊り出した。イチ、ニ、サン、シ、ゴッ、ロック、歌いながらダンスした。ぐるぐる、ひょこひょこ踊りながら、
わたしいいでしょ、みんなみてる、いけてるでしょ、すごいでしょ、
ダンスの渦。
僕が飛び跳ねると、晴美さんも魂ごとジャンプして終わった。崩れ落ちた晴美さんをお姫さまだっこして、くるりくるりと回った。
「それを待ってたんや!」「ウォー」
ことばにならない叫びが聞こえてきた。拍手の中での退場。
なにかがうまれたようだった。いつも毎日毎日何年も「うまれた」を叫び続けたのに、舞台では叫ばなかった。ほんとにうまれるときは、うまれたとは言わないんだろう。この日まで、想像妊娠のような状態になっていた。ほんきで狂気で、踊り狂うひと。僕は、晴美さんにあこがれ続けているのだろう。彼女と一緒に、自分の力を総動員して闘えるダンス事故。ダンスの力、ダンスの可能性。ひとの力、ひとの可能性。
最高だった。
楽屋で白いドレスに着替えている晴美さんを見ながら、
今日、この場所で、この人とダンスができる奇跡を感じて、
ジェリーさんの音とともに
ある、
ことだけを踊ろうと決めた。
ほの明るい光と闇がつくる輪のはざまでたゆたうと、からだが滑りはじめた。
きっと、もうひとつの光の輪では、晴美さんが踊っているのだろう。
感じるままに、気ままに踊った。
光がひとつの大きな輪になった。すこし晴美さんを探ってみると、
ヴェールの向こうで、目がらんらんとし、ぐふふと笑っていた。
いいですか、おにいちゃん、おどりましょう、おもいっきりやりましょう、
って言ってるのがわかった。
僕は、ますます気ままに踊った。
前回とは違った。開始直後に発作が起こったあの時とは。
四方を囲んだ下手側の客席から拍手が聞こえた。叫び声も聞こえる。どうやら晴美さんのお母さんのようだった。
「わたしは、じぶんのこだけがかわいいんです。」「よかったよ。」「サクマさん、ありがとう。」「こんなこをわたしはうんだんですか。しんじられない。」「ぶちこわして、ごめんなさいね。」
間欠泉のように、感情の泉が高まるたびに、お母さんは何度も登場した。
「ありがとうございます、はるみさんのおかあさんですね、まだなんです、ここからなんです、まだまだおどるんですよ、だいじょうぶです、ありがとうおかあさん。」
と、僕も叫んでいた。
晴美さんを車椅子から下ろした。どんどん踊り出した。イチ、ニ、サン、シ、ゴッ、ロック、歌いながらダンスした。ぐるぐる、ひょこひょこ踊りながら、
わたしいいでしょ、みんなみてる、いけてるでしょ、すごいでしょ、
ダンスの渦。
僕が飛び跳ねると、晴美さんも魂ごとジャンプして終わった。崩れ落ちた晴美さんをお姫さまだっこして、くるりくるりと回った。
「それを待ってたんや!」「ウォー」
ことばにならない叫びが聞こえてきた。拍手の中での退場。
なにかがうまれたようだった。いつも毎日毎日何年も「うまれた」を叫び続けたのに、舞台では叫ばなかった。ほんとにうまれるときは、うまれたとは言わないんだろう。この日まで、想像妊娠のような状態になっていた。ほんきで狂気で、踊り狂うひと。僕は、晴美さんにあこがれ続けているのだろう。彼女と一緒に、自分の力を総動員して闘えるダンス事故。ダンスの力、ダンスの可能性。ひとの力、ひとの可能性。
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