ついつい長くなります。すみません・・・完結編。
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僕は、この夏に体験した「カラスの羽」の話をした。昭男さんには是非聞いてもらいたかった。昭男さんも随分と不思議な体験をしており、そのいくつかの話は深く印象に残っている。昭男さんは話を聞いて、
「カラスの羽がいっぱい落ちてたってことが、まず、あれだね、啓示だね。きっと。」
と言ってくれた。
そういえば、あれ以降、カラスの羽が気になって、家の近所でも、東大寺でも、カラスの羽を探すのだけれど、一向に落ちていない。なのに、水口の古城山では、ものの20分位の間に、
「あっ、ここにも、あっ、こっちにも。」
と、どんどん集まり、すぐに10数枚集まった。カラスが道に迷わないように印を付けていったかのように、僕がふっと目をやったところに、羽がぽつ、ぽつと置かれてあった。
すると、うつむいて考えていた昭男さんが、
「こんないい話じゃないんだけど・・・。僕もね、随分と昔、コンサートをした時にね・・・。」
と語り始めた。
それはヘリウムガスの入った風船の話だった。昭男さんがまだ長髪でファンキーだった頃、いや、本当は今でも、怖いくらいファンキーなのだが、物腰がものすごく柔らかいのでだまされてしまうだけなのだが・・・、とにかく随分と昔の話。コンサートで、ヘリウムガスの入った大きな風船を使ったそうだ。風船には飛んでいかないように、コインのおもりがつけられている。大きな風船は、フワフワと空中に漂っている。
控え室で、昭男さんが、
「風船ちゃん、大好きだよ!」
というと、風船が寄ってきて、昭男さんの髭にほおずりをし、
「今、ちょっと忙しいからね。」
というと、風船は遠ざかっていき、おとなしくしているのだそうだ。
でも、結局コンサートでは、風船ちゃんは振り向いてくれなかったそうだ。
真面目に話してくれる昭男さんではあるが、まあ、本当に笑い話である。もちろん、カラスの羽の話も、当人以外にとっては笑い話だが・・・。
しかし、昭男さんと二人で納得し合った。なにかこう、微妙なバランスで漂っていると、微細な力に反応するんだよね、って言うことである、共通点は。
昭男さんが、行きつけの魚屋さんに連れて行ってくれ、コッペカニをプレゼントしてくれた。松葉カニの小さいやつだが、タマゴやみそがめちゃくちゃうまいのだ。みんなで、そう、この丹後行きのメンバーは、僕、イウィンさん、ブナ、マルガサリのまっちゃんだったんだけれど、みんなでラーメンを食べに行き、その後、ミゾレの降る網野の寒空の下、昭男さんに別れを告げ、生きたコッペガニを積んで、豊能へ帰った。
3時間のドライブの後、星の瞬く豊能の家に着いた。
とにかく、カニだカニだ!と、魚屋の主人が教えてくれた茹で方で、大鍋で18分間茹でた後、4人でカニの解体に取りかかった。イウィンさんとまっちゃんがバリバリと甲羅を開ける。僕は、ハサミでジョキジョキと足に切れ目を入れていった。
「・・・ ・・・。」
カニを食う時は、もちろん皆、無言。ブナもムシャムシャとほおばっている。有無を言わせぬカニの力。ひとしきり経つと、まっちゃんが、
「はい、足どうぞ。」
と、コッペガニの小さな足を放り投げてくる。まっちゃんは、みそとタマゴを集中的に食べているのだ。僕は屈辱的にそれを受け取った。4年ぐらい前に、やっぱりまっちゃんと昭男さんのところへ行った。昭男さんの引っ越しの手伝いだったか?その時もコッペガニを買って、昭男さんのところで食べた。ところがである。3時間のドライブをして、豊能の家に到着寸前に、ポツッ、ポツッと湿疹があらわれ始め、猛烈な吐き気と下痢に襲われた。自宅へ戻ると、湿疹は全身に広がった。
全身くまなく、1点の隙もなく、ブツブツになった。
死ぬかと思った。
タオルで冷やして、翌朝には治まったが、トラウマになってしまったのだ。まっちゃんによれば、
「食い気に目がくらんで、この髭みたいな、食ってはならぬ部分を食べたんだ。」
と、言うことである。たぶん、そうなんだろう。グスン。
丹後へ出発する前に、中村さんからメールがあった。
「先日、1泊2日の温泉旅行で長野県の上諏訪に行ったら、
旧中仙道脇に「点音」マークがあるのを見つけました。
ふふふ、いろんなところでやってたんですね。
鈴木さんにもよろしくお伝えください。」
昭男さんに確認したら、それは昭男さんの仕業ではなく、昭男さんの作品に刺激を受けた上諏訪の人たちが、自分たちで作った「点音 おとだて」マークだったのだと、判明した。あのマークは、確か交差点についている「足跡タイプの一旦停止マーク」がヒントになっていたと思うが、昭男さんの「点音」マークも日本中に広がったら、面白いだろうな。
「点音」マーク、そこに立ち止まって、耳を澄ますための「耳跡マーク」。
ナカムラさん、ナカガワさん、スズキさんがぐるっと鮭で繋がったのでした。
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