2012年12月28日金曜日

ギャラリーで自分の歌声が (2007/01/31)


昨日は、大阪南港のアジア太平洋トレードセンターであったインドネシア政府主催の催しのオープニングパーティに出演した。インドネシアの工芸品、主に装飾品を日本で紹介するというイベントだった。時折、このようなイベントへ呼ばれて踊ることがある。ジャワの舞踊をなるべく多くの方に見てもらうのも、重要な僕の役割だ。

南港からの帰り、肥後橋京町堀のAD&A galleryで行われている高嶺格さんの個展「 Baby Insa- Dong 」を見に行った。彼が在日韓国人2世の貴月さんと結婚する時に、マルガサリで祝福の演奏に出かけていって以来の縁になる。

ギャラリーに入ると、僕の歌声が聞こえてきた。近江の水郷で行われた結婚式の時に、彼ら二人が船に乗り、壕をぐるっと一週回ってきたのだけれど、その時にマルガサリのメンバー有志が橋の上で演奏した。数少ない楽器で、鄙びた感じのガムランにあわせて、僕が歌ったのだ。日本と韓国の晴れ着を着た二人が、気恥ずかしそうにしながらも、颯爽と船に乗る光景に、なぜかぴったりと合っていた。

今回の個展では、結婚式当日の様子の写真が展示され、写真の上下に、結婚に至る過程で生じた日本人と在日韓国人との間の軋轢が文章になって、日本語、ハングル、そして英語で書かれていた。写真と文章を見ながら進んでいくと、格闘する高嶺さんがあらたな思考を獲得していく様子がよく分かった。会場中に、のんきなガムランと僕の歌声が響いていた。

一周して戻ってくると、貴月さんとイウィンさんが雑談していた。入り口を入ってすぐのモニターには、臨月の貴月さんが陣痛に苦しむ様子が映像に撮られ、流れている。その前で、二人が熱心に話し合っていた。お互い子供が二歳で、話が合うんだろう。

僕と高嶺さんは共に1968年生まれで、互いに国際結婚をし、2歳の子供がいて、芸術を生業としている。不思議な縁を感じた。高嶺さんも僕も、私生活と芸術活動を分かち得ないとい点で、共通しているのかなぁ、と思った。数日前に、千里オールドタウンの日記で、着地地点も分からぬまま、自分の生い立ちを書き始めた。自分がどうして、今ここでジャワ舞踊をしているのかを考えてみたかったのだ。いくつもの渦や陽炎が立ち上り、簡単には分からない。この個展を見て、自分の中にまたいくつかの気泡が湧き上がったような気がする。


展覧会は、2月7日まで。13:00〜20:00(最終日18:00)
AD&A gallery
www.adanda.jp

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