2012年12月17日月曜日

カラスの羽 パート3 (2006/11/9)

カラスの羽 はここまでです。 ちょっと不思議な体験でした。里に住む動物、イノシシ、鹿、サル、フクロウ、サギはすごく身近に感じられます。 この夏も、ブナと近くの鬱蒼とした木の下の泉へ行くと、サギが水を飲んでいました。なんだか、女の人が水浴びしているのをのぞき見るような感じがしました。サギと目があった瞬間、お互いになんとも気まずい感じになり、サギは着るものも取り敢えず、わさわさと羽を羽ばたかせ、ゆったりと飛んでいきました。ゆっくりと低空で旋回し、やがて山の向こうへ飛んでいきました。確かに、その場の空気は、共有していました。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 羽は、広場の端へと僕を引いていった。磁石の同じ極を合わせたような感じ。行くことが出来ない方向があり、かついくつかの通り道が与えられている、そんな力だった。途中で止めることは出来そうだが、止めたいとは思わなかった。なんとか力の通り道を選びながら回り込んで、みんなのいる近くへ引っ張られて行った。変な表現になるが、まさにそんな感じだ。   羽の力とコミュニケーションを取っている感じ。こちらが全面的に羽に乗っていくと、どこまでも力が増幅して、止まらなくなるし、こちらが力を入れすぎると、今度は力が消えてしまう。もちろん、その時は、そんなことも考えられない。後で考えれば、多分そうなのだと言えるだけだ。   確かに、力が働いているのが確信できたので、人を呼んでみた。 「真さん、羽が勝手に動いて行きますよ。僕の力じゃないって分かりますか?」 「・・・・・・」 信じないようなので、ちょっと羽に乗ってみた。どんどん力が増幅する。調子に乗りすぎて止まらなくなってきた。 「真さん、ちょっと助けて!動きが止まらなくなった。」 真さんが機転を利かして、短い竹筒を持ってきた。方向をうまく調節して、なんとか筒に羽を放り込んだ。ストン、と落ちた。 さあ、なんの力だったのか。その日、それから後もしばらく考えた。 1)トカゲのしっぽのように、羽も抜けた後に、わずかな力が残っており、その力を感じた。 2)鳥の羽は空気を切って飛ぶので、羽を持っていると、空気が切れていく。 3)口琴の作り出す倍音が力となって、羽を動かした。 いずれにしても微細な力である。 僕は即興舞踊をする時に大事にしていることがある。でもこれは、実はジャワ舞踊から教えてもらったことだ。 身体の力を抜く。重力を感じる。遠心力を感じる。 微細な力を感じ、それを辿って動いていく。 音に身を委ねる。 へその辺りを安定させ、水の上を滑っていくように移動する。身体の関節を柔らかく保ち、なるべく筋力を使わずに、流れに添うがままにしておく。 他にもいくつかあるのだが、カラスの羽が動いたことに関係するのは、舞踊の中のこのような要素だ。 今のところ考えているのは、2)の現象だ。ちょうどダイバーが中性浮力を使って泳ぐように、カラスの羽が落下しない力だけを手で補助してあげる。そこで手の羽は、そよぐ風を切る。羽が切れる向きには進めるが、その他の方向へは進めない。野外だと風の方向が変わったりするので、羽の方向もどんどん変わっていく。身体を楽にして、微細な力を感じるようにしていて、かつ、辿って動いていく身体になっているので、羽に任せていくとどんどん力が増幅していく。 たぶん、そんな現象が起こっているのだと、今のところは考えている。 この日、水口の古城山のカラスに、僕がジャワ舞踊を通して、教えられた身体性が、認められたのだろう。感謝である。 翌日、「音楽ノ未来・野村誠」のコンサート終了後、真さんが竹筒からカラスの羽を出して渡してくれた。羽はボロボロになっていた。これはちょっとした不思議。   でも、後日、他の羽でも試してみたが、やっぱり確かに力を感じることは出来る。なので、心霊現象ではない。ご安心を!

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