2013年1月23日水曜日

愛の賛歌をめぐって (2008/04/30)

5月4日から、スペース天で「森のコモンズ」が始ります。コンサートやインスタレーションの展示があります。 
僕は、次のプログラムに出演します。 

5月10日(土) 18:30~ 
場所:スペース天近くのダムと棚田 
演目:「愛の讃歌」(三輪眞弘作曲) 
   野外でさわさわと 

5月10日(土) 15:00~ 
場所:スペース天 
演目:「For Gender」(デビッド・コットロゥイ作曲) 
   響きに共鳴してたゆたうように  
    
5月10日(土) 20:00~ 
場所:スペース天 
演目:「クロノ・アルス・ジュンクンマルデヨ」(ジャワ古典舞踊) 
   静けさをたたえて 

5月11日(日) 10:00~ 
場所:スペース天近く、TeNBA-A、棚田、森 
参加型プログラム:「あたらしいダンスの発見」 
         伊藤愛子さんと共に、あたらしいダンスの発見に      

2007年のザ・フェニックスホール、碧水ホールに続いて、三輪眞弘さんの「愛の讃歌」。ついに野外へ飛び出します。「愛の讃歌」に関して、すこし振り返って見ました。 

●●● 

三輪眞弘さんとマルガサリのコラボレーション作品である「愛の讃歌」は、2007年3月に、ザ・フェニックスホールで行われた「ガムラン・コモンズ」のコンサートで初演された。 

その公演からさかのぼって、2005年12月、中川真さんと共にイアマス(岐阜県立情報科学芸術大学院大学)の三輪さんのオフィスを訪ねた。5年越しで取り組んでいた桃太郎の次のプロジェクトとして、三輪さんに作品を書いてもらうためだった。三輪さんは大いに関心を示してくれて、三輪さんとのプロジェクトは数年がかりで取り組むことになった。(その後、桃太郎は進化を続け、現在でもプロジェクトは継続中。今年は、インドネシア公演を行うことになっている。)そして、マルガサリがザ・フェニックスホールから公演を依頼されたのを受けて、2006年10月に再びオフィスを訪れた。三輪さんとのプロジェクトの第1段階として、ザ・フェニックスホールのコンサートに向けて作品を制作することになった。12月には、三輪さんから曲に関する具体的な指示の書かれた最初のメールが送られてきた。 

FourBits-Gamelan の準備 

と書かれており、以下のような指示が書かれていた。 

・・・  

下記、4つの o と x からなる、0から16までのリズムパターンを番号に従っていつでも演奏できるように暗記してください。その際、o は16分休符、x は16分音符とし、リズムパターンひとつが4分音符のまとまりと考えます。 

0: o o o o  8: o o o x 

1: x o o o  9: x o o x 

2: o x o o  10: o x o x 

3: x x o o  11: x x o x 

4: o o x o  12: o o x x 

5: x o x o  13: x o x x 

6: o x x o  14: o x x x 

7: x x x o  15: x x x x 

・・・ 

2進法が4桁まで進んでいくのが楽譜になっているのだ。マルガサリのメンバーは、口や手拍子で試みた。器用なメンバーはすぐに理解し、すぐにかなりのスピードで出来るようになった。美術が専門のHさんが意外なことを言い出した。 

「私には、月の満ち欠けのように考えた方がやりやすい。」 

左から右へと時間が進行する楽譜と考えるのではなく、「田」の字のように4つのマスを考えて、o を明、x を暗、と考えるというのである。さすが美術家、頭がビジュアルである。僕はダンサーなので、そのビジュアル案を動きに変えてみた。 

親指を上にしてグーを握る。左右の手を合わせる。二人組になって4つのグーを合わせる。つまり、「田」の字を手で作るのだ。o は、親指をそのまま、x は、親指を立てる。 

相手  手手  3桁4桁   
自分  手手  2桁1桁 

という風にすると、0番から順番に、 

 
o o 
o o 

 
o o 
o x 

 
o o 
x o 

 
o o 
x x 

 
o x 
o o 

 
o x 
o x 

 
o x 
x o 

 
o x 
x x 

という具合なる。最初は混乱するが、慣れるとすぐに早くできるようになる。しばらくすると、あることを発見する。自分の右手、つまり右下の1桁目は、規則的に動いているのだ。  

o x o x o x o x 

とくり返している。オン・オフの繰り返し。まさにデジタルの動きなのだ。このことは、手や手拍子でしている時、あるいは、月の満ち欠けで考えている時は、そんなに感じられない。この後、僕たちは、これ以外にもフォービッツ・ガムランの中にいろんな発見をしていくのだった。 
 

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