2013年7月5日金曜日

宙に浮かぶ白と床に絡まる黒っぽいもの (11/02/2010)

ブナが微熱で保育所を休む。4月からの小学校がそれなりにプレッシャーになっていて,朝早く起きたりなにかと疲れがたまっているのだろう。まあ、暖かい雨も降っているし,僕も時間があるので,今日はのんびり家で過ごそう。窓から雨を覗くと,向かいの山に(675メートル)にガスが下りて来ている。雨降りには、枯れ葉や伐採した枝を燃やす家が多い。煙の青が、ガスの乳白色に混じっていく。 

「梅の匂いがする。」とブナ。 
「エー,まだやろ。」と僕。 

んっ!裏庭の端を見ると、なんと梅がほころんでいる。ブナが得意そうな顔をしている。この間は、ロウバイの匂いに、ほぼ同時にふたりで気づいたのだった。昼ご飯は豚汁。歩いて1分の藤細工の工房へパートに出ているイウィンさんが帰って来たので、3人で昼食。 

夕方から、僕は京都のJEUGIAカルチャーでジャワ舞踊教室。いつもよりちょっと早めに出て,2件の展覧会へ出かけた。1件目は,中村伸さんが教えてくれた展覧会。 

(のびるさんのをコピーします) 

・・・ ・・・ 

「而上其心(にしょうごしん) 石田智子展」 
2月5日(金)~2月21日(日)まで、 
京都の「ギャラリー素形(すがた)」で開かれています。 
福島のお寺の住職と結婚した現代美術の作家で、 
檀家の方などからいただく品々の包装紙を捨てるに忍びなく思い、 
それらを素材にした造形の数々を手がけています。 
ファイバーアートというのでしょうか、 
紙を細かく切って縒ったものだけを使って宇宙をつくる。 
前に近江八幡の旧家で展示したものを見たのですが、 
一瞬で重力がなくなったような気がしました。 
ご主人は、わりと売れている作家なのだそうです。 
●ギャラリー素形 中京区室町二条下ル蛸薬師町271-1 
 www.su-ga-ta.jp 月曜定休 
 tel 075-253-0112 

・・・ ・・・ 

室町通に面してガラス張りのきれいなお店兼ギャラリーがあった。奥まったギャラリーに入っていくと,鳥の巣がたくさん集まったように、短い直線が集まって出来た曲線がひとつの固まりになって宙に浮いていた。近寄っていくと,紙で出来た白いこよりだった。5万本あるという。 

室町通を下って,三条通りへ出て川端通を南へ下った。四条をすぎたところで車を停めて,2件目のギャラリーへ向かった。久々に電話したTさんが教えてくれた展覧会。 

高見晴恵ーインスタレーションー 
2月6日ー2月14日 
楽空間 祇をん小西 東山区祇園花見小路四条下ル西側 
www.gionkonishi.com 
tel 075-561-1213 

いわゆる祇園のど真ん中。町家のギャラリー。入っていくと賑やかな京都弁の作家が、僕の前に入った芸大の教授風の男性を案内していた。僕も一緒に入っていった。通りに面した薄暗い日本間に座る。ふすまを挟んで隣と、その奥に作品がある。雨降りの6時は薄暗いので、電気の消された室内はかなり暗い。目が慣れてくると,革の切れ端のような黒っぽい細くて短い曲線が、絡まった干し草のように床に敷き詰められているのが見えてくる。しばらくいると、白いふすま、障子に映る影,どこからか漏れてくる明かりが作り出す微妙な陰影の変化が分かるようになってくる。そこへ、細かな格子の影が大きさを変えながら部屋の中を移動していく。外を通る車のヘッドライト。 

見終えてお茶をいただいた。紺とグレーを張り合わせた厚手の生地を、はさみで1本1本なるべく細くなるように、1年かけて切っていったそうだ。日光やヘッドライト,見る人の感覚と会話する作品。寡黙だけど,雄弁な作品だった。高見さんの京都弁が心地よかった。 

美術を見ると勇気づけられる。揺れるだけだって,立っているだけだって,ダンスになるはずだって。

0 件のコメント:

コメントを投稿