2013年1月18日金曜日

いよいよコンサート (2007/11/15)


昨日は、京都の川端丸太町にあるカフェetwでライブがあった。野村誠さんが今年の3か月まで1年間やっていたNHK教育の子供向け音楽番組(実は大人のファンもたくさんいたが・・・)「あいのて」に出演していた3人組、野村誠、尾引浩志、片岡祐介のライブにゲスト出演したのだ。 

8時から始まったライブの前半は、昼間のあいのてさんコンサート。テレビでおなじみの曲が続く。片岡さんのパーカッションは本当にいい音が出る。石を叩いても、ブラインドを引っ掻いても、なんでも楽器に早変わり。尾引さんの「ねえダーリン、CD買ってよね!」大爆笑した。 

後半は、夜のあいのてさんコンサート。僕と尾引さんのデュオから始まった。ゆっくりと場の空気を動かすように、はるか遠くから音や光がやってくるように、ダンスした。2年前の夏の不思議な体験、滋賀県の水口にある山の上で拾ったカラスの羽のことを思い出した。続いて野村さん、片岡さんとデュオを続けた。軽いブレークの後、イギリスとオーストリアで一緒だった藪久美子さんの「フラミンゴの夢」に乗せて、フラフラだったが、フラフラ片足のフラミンゴになって踊った。そして、最後は全員参加で即興演奏、そしてエンディング。軽く1時間以上は踊った。 

9月に碧水ホールでしたワンデーガムランピクニックでの野村クンとの即興から、イギリス、オーストリアを経て、京都まで戻ってきて、再びの即興。二人の間にある空気が変わってきたような気がした。 

さて、旅日記の続きを書こう。コンサートを終えて、コンサートの日記を書く。不思議な感じ。 

10月7日日曜日 
6時50分起床、朝食。いよいよコンサート当日だ。 

8時50分、Minoriten kirche教会へ出発。ASO小学校、養護学校、BORG高校、スタジオFnuk und kusteのみんなもやって来る。T君も来ている。お母さんと一緒だ。二人でいる所をお母さんが写真に撮ってくれた。舞台の階段のところで、T君とダンスをした。昨日までと少し違う感じだ。一緒にダンスを踊りたい様子だ。 

Minoriten kircheは古い教会を改装したホールで、Minoriten platzというギャラリーとL字型になって中庭を囲んでいる。ガラス張りの入り口を入ると高い天井が急なアーチを描いている。奥行きが深く、中ほどが舞台になっている。舞台とその前の空間は階段でつながっている。僕たちは、舞台と階段、そしてその前の空間をアクティングスペースとして使う予定だ。舞台の奥には、スクリーンが張られている。その後ろにも空間が広がっているが、今回は使わない。バックステージになって、ワイン、水、チョコレート、お菓子が机の上にうず高く積まれて、楽屋になっている。客席は200席ほど。 

9時30分からリハーサル。この日に始めて全員が顔をそろえた。エクセルで作った楽譜・進行表に従って進めて行く。コンサート会場の雰囲気に、みんな少し緊張した様子。特に、スタジオFunk und kusteの大人達は硬くなっているようだ。10時40分、リハ終了。 

日曜日の午前中、観客が集まってきた。客席はほぼ埋まった。 

11時5分、昨年Iピクニックで訪れた甲賀市で撮影した「水口城趾の音楽」のDVDが流れ始める。城跡にあるグラウンドでのパフォーマンスの映像で、ブナやイウィンさんも出てくる。僕はスタジオFunk und kusteの人たちと、真っ暗な観客席のサイドに待機していた。気持ちが高まって来る。やっとここまで来たという思いが渦巻いた。大きな興奮の渦を作って、それをダンスに高めて行く。爆発した。 

ポン、ポッ、ポッ、ポッ、ポン! 
ポン、ポッ、ポッ、ポッ、ポン! 
ポン、ポッ、ポッ、ポッ、ポン! 

客席の中央に躍り出た。教会に満ちている引き締まった空気をかき分けて進んだ。思いっきり声を出し、身体の隅々まで気をみなぎらせてダンスすると、少し空気がほぐれてきた。スタジオFunk und kusteの人たちも段々調子が出てきた。口ガムランの部分からパフォーマンスへ移行し、退場。 

客席に陣取っていたASO小学校のみんながアクティングスペースに登場。1音だけのシロフォンを一列に並べ、その前で僕と3人の子供がダンスをする。子供達はどんどん入れ替わって行く。子供達はライトを浴びて気持ち良さそうにダンスした。 

BORG高校の生徒は5カ所に分かれてスタンバイ。舞台上には、ピアノ、ドラム、ベース。観客席の4角にそれ以外の楽器のグループ。そして、僕が客席の中央に進み出た。僕の動作に合わせて音がなり始めた。やがてリズムが刻み始められた。音はメロディになり、動作はダンスに、そして指揮になっていった。曲が終わり、高校生は舞台に移動。野村クンが指揮者になって登場。Gendhing und Fugeというアンニュイな曲が始まる。野村クンのセーターには、模造紙の楽譜がテープで張られていた。スタッフが紐を用意し忘れたのだ。僕は一旦、サイドに捌けたが、楽譜は絶対に途中で落ちると思い、待機した。 

ハラリ 

とめくれた同時に、踊りながら駆けだした。野村クンの背後に密着し、楽譜をキャッチし、彼の肩越しに楽譜を持ち続けた。野村クンは指揮をし、僕はダンスをし続けた。指揮とダンスが一体化した。ピンチがチャンスに変わった。背後で聴衆がザワッと湧くのが分かった。 

インターミッション 中入り 

野村クンと通訳のはる香さんが挨拶をする。僕は車椅子のMT君を誘導する準備をした。ゆっくりとアクティングスペースの中央へエスコートした。野村クンが慎重に鍵ハモを支え、息を送り込む。MT君は、必死で身体を動かし、鍵盤に触れた。3脚に据えたビデオの映像がスクリーンに投影された。静かな音楽。静かなダンス。会場の空気が澄んでいく。MT君の車椅子を誘導して、退場。 

スボウォさんとアナンさんが瞑想的なダンスを始めた。僕は、聴衆の後ろからゆっくりと中央の通路を前進した。高まる興奮をなだめながら、ゆったりと舞った。Iピクニックメンバーだけの場面。もう少し続くのかなと思っていたら、ASO養護学校のメンバーが加わり始めた。次々と全参加者が加わる即興の場面になっていった。ディレクターのジョーも息子のJ君とカメラマンの役で参加している。僕はダンスしながら、T君を探した。舞台にも、客席にも、彼の姿はなかった。どうしたのか? 

ラストシーン 
舞台上に全参加者が上がって整列。黒いスーツを着て正装したアナンさんが下手から登場。 

高校生がメロディ、大人達が歌詞を作った曲の合唱。 

Korai tan yankasya mukashi owai ............ 

くり返す毎にゆっくりとなり、各自が自分のテンポで歌い始め、舞台から下り、会場のあちらこちらへと漂っていった。アナンさんが一人淡々と指揮を降り続け、やがて終了。のはずが、誰もいないはずの舞台に、P君とF君が指揮者を挟んで上手と下手にシンメトリーになって、階段に並んで立っている。アナンさんは何事もなかったように、指揮を終え、振り向いて、一礼した。 

終了。 

拍手。P君とF君の二人にしてやられた。 

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